こんにちは!インタビュー形式でコドモンの中の人を紹介していく、この企画。シリーズ第39弾は2019年にコドモンに中途入社後、一度別の道を歩んだ後に、再度コドモンのパブリック・アフェアーズ(以下、PA)担当として入社をされた岡本さんにお話を聞いてみました!
自治体×保育DXへの思いが導いた再挑戦への道のり
これまでのキャリアについて教えてください
新卒で大手SIerに入社し、行政向けにシステムやICTソリューションの営業をしていました。配属先の福島県で4、5自治体ほど担当していたのですが、情報システム課に対しての提案はもちろん、観光課や防災課、教育委員会など分野を問わず、幅広く行政に携わることができました。コドモンには2019年の7月に転職をしました。公立セールスチーム(今でいう公共推進チーム)の立ち上げ役としてジョインしたのですが、当時のコドモンは公立施設への導入事例が非常に少なく、最初の一年は自治体に対してどのようにコドモンを普及させていくかや、導入後のオンボーディング体制などを0ベースで考えていました。その後新たなメンバーも加わり、より強固な体制になってからはマネージャーとしてチームビルディングも経験させていただきました。その後、昨年の春に一度コドモンを離れ、別の会社で働いていたのですが、この5月からPA担当としてコドモンでの再スタートを切っています。
なぜ一度卒業することを決めたんですか?
一度退職したのは、自治体保育担当課のDXに取り組みたいという想いからでした。
公立施設へのICT導入で窓口になるのは、保育園ではなく自治体の保育課職員の方になります。システム導入にあたりご一緒するなかで、保育にかける熱意やその働きざまに胸を打たれたことをよく覚えています。公立セールスの業務を続けるうちに自分の業務によって施設の職員や保護者、子どもたちに対して価値を発揮することはできても、一緒にICT化を推進する行政職員の方たちにはもっとできることがあるのではないかと思うようになりました。先ほどお話したように保育課職員のみなさんは熱意に溢れた方ばかりだったのですが、日頃の事務作業でいつも忙しそうにしている印象があったんです。
そんな姿を見て、いつしか「自治体DXを通して行政職員の事務負担を削減することで、これまで以上に保育業界をよりよくする」そんなことにチャレンジしたいなと考えるようになりました。その後、公立施設への導入実績は着実に積み上がっていき、チームも頼りがいのある組織に成長するにつれ「ここまできたら公立施設のICT化は大丈夫。あとは信頼できる仲間に任せられるな」という感覚が持てたので、そこで自治体DXに挑戦できる会社への転職を決めました。
転職先は行政特化のSaaSプロダクトを開発・販売する会社で、そこではセールスと事業開発を経験しました。SIer時代同様、自治体のさまざまな課を担当していたため、すべての時間を保育に使える訳ではありませんでしたが、私の希望を汲んでいただき保育分野にも取り組む機会をいただけました。限られた時間ではありましたが、自治体×保育のDXができる会社は世の中にそう多くはないのでこの機会は本当に貴重でしたし、様々な挑戦を後押ししてくれた会社には感謝しかありません。
コドモンでの再スタートを決めた理由は?
まさに今取り組んでいるPAという領域に会社として取り組むことになったからです。転職後しばらくしてコドモンから連絡をいただき、このPA業務について説明いただきました。会社として抱えている政策課題を聞いてみると、実は私が解決したいと思っていた自治体関連のものが複数検討されており、私の転職理由であった「自治体×保育のDX」にコドモンが取り組み始めていることにそこで気づいたのです。当時の仕事にも十分満足はしていましたが、私の中ではこの領域に身を捧げたいという想いは1年経っても一貫しており「自治体×保育のDX」に100%向き合えるこのチャンスを見逃すわけにはいかず、改めてコドモンで再スタートしたい旨を代表の小池さんにお伝えしました。
こうしてインタビューなどを経て復帰に至った訳ですが、一度コドモンを卒業したことは自分にとってプラスだったと思っています。転職先の会社は「もっとこんなことをやりたい」「新規事業にチャレンジしよう!」という提案が職種や役職を問わず次々に出てくるような会社で、これまでどちらかというと経営や事業戦略について受身だった自分には非常に学びが多い環境でした。転職先での経験があったからこそ、以前よりも業務をオーナーシップと責任を持って押し進めていく力が付いたと感じていますし、今はその力をPAを通じた自治体DXで発揮していきたいなと思っています。結果論にはなりますが、会社に残って1年過ごしていたら今の自分はなかったと思っています。
子どもを取り巻く社会課題解決のカギに。PAの使命とは?
現在担当されているPAとはどんなお仕事なんでしょうか?
一言で言えば、私たちの主力事業であるICTや保育・教育領域に関連の強い省庁や議員、その他公的な機関と関係を築いていくことです。よく「ロビー活動でしょ」と言われることもありますが、官と民できちんと関係を築き「よりよい政策につなげていこう」という活動なので、ある意味では収益面を考慮しない側面もあり、個人的にはCSRの側面も多分にある活動だというふうに捉えています。
役割の一つとして、施設や保護者と日々やり取りをしている私たちだからこそ知っている現場の様子や課題について官公庁に情報提供をしています。コドモンのデータの傾向分析や、施設・保護者へのアンケート実施、社内外の有識者へのヒアリングなどにより情報を集約し、報告資料を作成、最後に直接ご説明に伺うような流れです。
また、単に情報を提供するだけでなく、状況や施設の意見を踏まえ、民間のICTベンダーとしての立場からルール改正などに関する提言も定期的に実施しています。現場のリアルな声を政策検討の場に届けることで、現場に即した政策決定を民間事業者の立場で支援する仕事ですから、非常にやりがいと責任を感じます。
________ 外部との関係構築が重要な一方で、PAは社内との連携も非常に重要なポジションなのですね。
役所や議員の方々は保育現場の最前線に直接足を運ぶ機会がそれほど多くなく、我々のような民間企業が日々耳にする現場の生の声はとても貴重です。そのため、社内で直接施設の方と関わっている事業部との連携は欠かせませんから、事業部との連携は常に意識をしています。また、PA側から事業部に情報を共有する役割も担っています。事業への影響度が高い政治的な動向についてはできる限り早期に把握・対応することが望ましく、そうした情報をいち早く事業部に還元することはPAとしては強く意識をしているところです。事業部がPAに現場の声を共有し、PAが事業部に国や政府の動向を共有する。こうした情報の循環が、今後の事業運営において大きな役割を果たすと思っています。
そうは言ってもPAチームは立ち上げたばかりの組織であり、PAという職種自体が市場でもそれほど多くないので、社内でもまだまだ認知されていないポジションだと感じています。仮に事業部側でPA活動に関わる情報をキャッチしたとしても、PAが認知されていなければ私たちのもとに情報が届きませんから、これは大きな課題です。
なのでこの7月から「PA認知向上プロジェクト」として社内での認知を高めるための取り組みも始めています。事業部の各マネージャーやサブマネージャーを招いてPA業務の概要説明やディスカッションを行う「PAキャラバン」を実施したり、Slack上に「PA目安箱」というワークフローを作成し、事業部のメンバーに極力手間なく、抜け漏れなく情報を共有してもらうための仕組み作りを進めています。こうした地道な活動を続けていくことで、PAと事業部での連携が少しずつ回り始めるんじゃないかと期待しています。
なぜPAが必要なんですか?
例えば、保育園の監査はICTのない時代から行われていますよね。仮に監査者の手引の中に「監査員が直接保育園に行って対象となる「書類」をチェックし、その内容について判断を「行う」という記載があったとすると、「書類をチェックする」と書かれているから紙じゃないとダメ(=ICTシステムで電子的に作成されたものについても、紙での打ち出しが必要になる)となってしまう。こういったケースは多く存在していると思います。
この類の問題は、私たちベンダーがどれだけ優れたシステムを作ったとしてもルール自体が変わらなければ解決は困難です。コドモンのミッションである「子どもを取り巻く環境をよりよく」を達成するための障壁としてこうしたルールや制度の存在は決して小さくはなく、だからこそ、それらを取り除くことができる唯一無二の手段としてPAが必要なのだと思います。
先ほど例に挙げたような課題は、このアプローチでしか解決できないものも多いですし、政策やルールが動いたときのインパクトは非常に大きいと思っています。そうしたプロセスに直接手触り感を持って関わることができるというのは、他には代えがたいPAとしてのやりがいです。特に最近は子育て政策への世間的な関心も強い状況にもあり、まさにコドモンのPAはやりがいに溢れている状況のように思えます。
スキルや知識よりも大切なのは「何のためにやるのか」という目的意識
これまでの経験がPAに活きている部分はありますか?
これまでの公共セールスで培ってきた「文書を読み解くスキル」「提案書を作るスキル」の2つはとても活きていると思います。公共調達におけるプロポーザルでは、長いと数10ページにわたる仕様書や要項を読み解いて、それに適した形で提案書を作成するのですが、仕様書の内容を一か所でも見逃すと失注につながるリスクがあります。そのため、ボリュームのある文書に目を通し正確に内容を理解することが必要です。また、その上で自社の提案内容を提案資料に起こしていきますが、情報の正確性・網羅性と、誰が読んでも理解できるわかりやすさを両立して資料を作成するのも、案件受注に向けては必須だと思います。
その点、PAの業務においても、既存の法律やルールを読み解き、正確でわかりやすい資料を作成するプロセスは幾度となく発生するため、インプット・アウトプット双方で過去の経験が活きていると感じています。私の場合は自治体セールスの経験で身につけたスキルですが、職種は問わず事実を調べて明瞭なアウトプットを出すという論理的思考に基づく業務経験がPAでは活きてくるんじゃないかと思います。
どんな人にジョインしてほしいですか?
市場ではPAという業務はまだまだニッチですし、取り組んでいる会社も多くはないので「絶対にPAをやりたい!」という方はまだまだ少ないなという印象があります。かつ今のPAチームは立ち上がったばかりということもあり、細々とした作業や泥臭いことも含めて何でも屋的な動きも多く求められます。
そのため、これからジョインいただく方には「何をやるかよりも何のためにやるのか」というところに重きをおいていただきたいなと思っています。既存のICT事業で取り組んでいる保育・教育施設の業務省力化について従来とは異なるアプローチで推進できることはもちろん、現在は他のこどもDX事業者と連携し、保育施設だけでなく保護者の負担軽減や自治体事務の省力化などに関する取り組みも進めています。これは単一企業だけではリーチできない課題解決にも携われるということであり、子どもを取り巻く環境や子育て全体をよりよくする経験ができる数少ないチャンスだと思います。このチャンスにワクワクしながら、子どもや子育てに関わる社会課題解決をしていきたいという強い想いのある方と一緒にPA業務に取り組んでいきたいです!
________ありがとうございました。これからが面白いPAチーム。よい仲間と一緒に盛り上げていきたいですね!岡本さんの保育×自治体DXへの強い思いでどんどん引っ張っていってください。