こんにちは! コドモン人事の青柳です。
コドモンの働き方や制度について紹介している「コドモンの働き方」シリーズ。今回は、コドモンで活発に行われている「1on1 meeting (以下:1on1)」についてご紹介します!
1on1とは、米国シリコンバレーで始まった、上司と部下が1対1で定期実施するミーティングを指します。2012年からヤフーが導入したことにより注目が集まり、さまざまな企業で続々と導入されています。
コドモンでは上司と部下という上下関係はなく、マネジメントは役割という考え方を大事にしていますが、主にメンバーとリーダー・マネージャー間で1on1を行っています。
思えば私がコドモンに入社してから丸1年が経ちました。大手育ちでしたが、一念発起でベンチャーに飛び込み、未経験の人事になってコドモンのスピード感に圧倒され続けた2020年。自信不足のスタートでしたが何度も成長を実感し、仕事を楽しいと感じられるようになったのは、1on1があったからと言っても過言ではありません!
そのとき、私の1on1をしてくれていた徳永さんはどんなことに気をつけ、何を考えていたのか?1on1に対する考えや思いを語ってもらいました!
メンバー全員、年上!? 信頼関係を築き、メンバーを理解するために始めた1on1
いつから1on1に取り組み始めたのですか?
最初に僕が1on1の必要性を感じたのは、新卒で入社した会社のマネージャーになったときでした。当時の役割は、チーム目標の達成に責任を持つことと、各メンバーの貢献度に応じて評価・フィードバックをすることでした。
「昇給・賞与などの給与を決める権限を持つ」という責任の大きさを感じていましたし、当時は全員が自分よりも年上という状況で、自分の判断を受け入れてもらえるイメージが全然なかったんです。
だからマネージャーとして、メンバーと信頼関係を構築していかないといけないと思い、1on1をはじめました。社内で1on1を実施している人もほぼいなかったので、最初はみんなから「これはなんの時間ですか?」と聞かれたりして「状況を把握して適切に対処したいのと、キャリアを応援していくためにあなたのことを理解するための時間です」と伝えていましたね。

結果的に、僕は信頼関係を築けたと感じていたし、それぞれのキャリアを応援することに自分自身も注力できていたと思います。マネージャーがメンバーを支援していくためには、それぞれが望んでいることや感じていることを把握する必要があると実感しました。
コドモンではいつから、どういった目的で1on1を始めたのでしょうか?
2018年9月、新体制となって初めて組織図ができました。各チームにマネージャーが誕生したので、そのタイミングから1on1を始めてもらいました。まだ20名ほどの組織でしたが、爆発的に人数が増えていくことが予想できたのと、過去の経験から変化の激しい環境では対話して理解し合うカルチャーがないとチームはまとまらないだろうと感じていたので、早い段階で取組みを始めるほうがいいかなと思っていました。
目的は「状況を把握して適切な対処をしたいのと、キャリアを応援していくため」というのが始まりでした。サービスや会社が成長していく限り、メンバーも成長し続けていかないとコドモンを支えられないので、リアルタイムにフィードバックをもらえる環境が必要だと考えたんです。
評価の仕組みもないですし、毎月のように新しい人が入ってきて人間関係も全くできていないし、みんな忙しい日々が続く中で、持っている経験・知識・技術を駆使して闘うんですけど……。
誰しも、自分が周囲と同じ方向を向いているのか不安になったり、壁にぶつかったけどどうすればいいか分からない……というときがあると思うんです。そういうときに1on1を通じ、現状を語りながら整理したり、客観的な意見をもらうことで解決方法を見出してほしいなと願っていました。
当時は全員がプレイングマネージャーで、人数も少ないから1on1のためにメンバー2人が席を外すダメージは大きくて、なかなか大変そうでした。あと、自分も我流でやってきて「こうやると良い」みたいな提示もできなかったので一人ひとりにかける時間も、頻度も、内容もやり方は丸投げのお任せ状態でしたね。
今考えるともっと提示してもよかったのかもと反省の日々ですが、まあ、それもいい経験になったということで(笑)。
まだまだ深める・改める。これからも続く試行錯誤
1on1において大切にしていることってありますか?
一番大切にしているのは「誰のためにやっているか」ということを明確にすることですね。
僕は最初に「これはあなたのための時間で、僕のための時間ではありません。あなたが成果を最大化し、コドモンで活躍できるように支援するのが僕の役割なので、同じ目線を持てるように現状を教えてください。そして、それをどう未来や目標・やりたいことにつなげていくのかをお話しする時間にしましょう。もちろんキャリアだけに絞ることなく私生活も含めてどんなトピックもOKです。悩み相談とかにも使ってください!」と伝えるようにしています。
大好きな本でヤフーの1on1にも「誰のための時間か」ということは書いてあって、これまで自分が勝手に「こうだろう」思っていたことが大事だと書かれていて嬉しかったですし、このスタンスはとても大切にしています。
他にもいろいろあって主なところだと以下の3点は特に大切だと考えてます。
・理解者がいるという安心感を持ってもらうこと (心理的安全性の確保)
・ぶつかった壁を突破するための筋道を一緒に考えること (壁打ち役)
・定期的な場をセットすること (定点観測)
日々みんなが目標に向かって業務をする中で溜まる不安や不満を受け止めて「理解・共感してるよ」ってことを伝えると、けっこう「話せてよかった」「元気が出た」って言ってもらえるんです。そう思ってくれるならやってよかったし、成功と言えるかなと思います。
僕らはシステムじゃなくて人なので、ちゃんと感情に寄り添って対話することで少しずつ信頼関係が構築されて、僕の考えや意見を聞いてもらえるようになるんですよね。
信頼関係が構築できたあとに注意することは、上司はあくまで壁打ち役で、すぐに答えを出してはいけないということです。信頼関係が出てくると同時に甘えも出てくることがあります。徐々に答えを聞かれることが増えたりするんですけど、そこは甘やかさず! 一人では出せなかった答えを一緒に考えたり、引き出す役割を丁寧にやらないといけないと思ってます。僕の場合は、どんどん自分が喋っている時間が増えちゃうんですよ。自分ではうまく伝えたつもりでも、実は伝わってないことも多くなります(笑)。
1on1で質問して答えが出ない場合は「宿題として考えてきてね」と伝えることもしますし「その上で自分も意見を持ってくるね」という風に①話をして②意見を伝えるという順番で一緒に答えを出すようにしています。
あと「(定期ではなく) 必要に応じてやりましょう」とか「忙しいのでリスケしましょう」っていう人もいるんですけど、5分でもいいので定点観測としてルーティーンにするのは絶対必要だと思ってます。
人って状態が悪くなるほど行動を起こせなくなるから、相談もできなくなって思い詰めちゃうんですよね。それをキャッチする土台として、定期的な1on1を用意しておく必要があると思ってます。本人も気づいてない変化が出てたり、めちゃくちゃやる気なさそうだったり、行動1つひとつが相手の状態を知るバロメーターになるので、敏感に反応しながら対処をしています。

できなかったことではなく、できたことを聞く
参考にしたノウハウや、取り入れてみての感想を教えてください!
コドモンで1on1を始める前に改めていろいろと調べたりした中で一番参考にさせてもらったのは、SmartHRの宮田さんが書いたブログ記事です。そもそもプロダクトのファンでもあるし、組織づくりの観点からもSmartHRさんには注目していて、noteとかもいつも拝見しているので、少しオマージュさせてもらいました。
心理状態や仕事への満足度を確認するためには、普通に「調子どう?」って聞くより「天気どんな感じ?」「今週の仕事は何点だった?」って聞くほうが、しっかりと状況を語ってもらえたり、より踏み込んだ質問ができてよかったなと思います。
しばらくやっていくうちに、みんな課題感とかできていないことは言えるけど、できたことをあまり言わないってことがわかったんです。例えば「今週の自分は70点でした。30点減点したのは、これができなかったからです。次回はこんな対策をします」という感じで……。「いやいや! 70点も獲れているなら、そこは成果として教えてよ!」と思うようになって、できたことを引き出す質問を増やすようにしました。
そのあたりから大事なのは「できたことを一緒に考えること」なのかもしれないと思うようになりました。頑張ってない人ってコドモンにはいなくて、でもその結果を成果と呼んでいいのかってところで遠慮が出るみたいで、OKRに書いてない仕事だからとか、ちょっとお手伝いしただけだからとか、その必要性や周囲に与えた良い影響があるのに教えてくれないんですよ……。
でもどんな小さなことにも目的とか効果ってあって、その心配りやちょっとしたやりとりで会社って回ってると思うんですよね。もちろん、会社と約束した目標は最優先で取り組んで成果を出せるるようにしていくのはプロとして必要なんですけど、自分が「やったほうがいい!」と思って取り組んだことも、堂々と言えるようになってほしいと思ってます。
もちろん僕らチームをリードする役割、評価をする役割を担っている人たちが、そういうことに気づけたほうがいいと思うのですが、なかなか見えない・気づけない部分だったりもするので教えてもらいながら把握していきたいですね。
ただ、難しいなと思っているのは「ノウハウ化」なんです。信頼関係がどれくらいできているか、メンバーのステージはどこか……といった、いくつかの変数が掛け合わさっているので、とるべき方法は十人十色かなと思っていて。パターン化やテンプレート化できるほどシンプルでもないと判断しているので、相手や状況に合わせながら内容を試行錯誤して変えているのが現状です。
フィードバックの納得感を生むために
できたこともそうですが、足りない部分もフィードバックくれますよね。
そうですね! 先ほども話したように、なるべくは考えてもらうようにしていますが「もしかしたら気づいてないかも?」ということはあるので、なるべく本人が現状を客観的に振り返ることができるようなフィードバックを心がけています。できていないことを放置すると仕事がうまく回らなくなるリスクもあるので課題から伝えるようにしています。届いていてよかったです(笑)!
1on1をする目的のひとつは、メンバーの目標達成を支援することなので、ときには耳の痛いことも言わないといけないといつも覚悟を決めて伝えています。課題とは、目標と現実の間にあるギャップで、超えなきゃいけない壁なので、認識をしてもらわないと目標まで到達してもらえないですからね。
ただし、これは相手が受け入れ態勢が整っていない状態ですると失敗するんですよ。「偉そうに!」とか「自分のことわかってくれてない!」って、誤解されちゃうというか……。
たとえば「相手のことをちゃんと考えてよ」ってフィードバックを、全然考えてなさそうな人に言われて……納得するのか?「あなたもやってない or できてないじゃないですか」って思われちゃったら、響かないですよね(笑)。
なので、まずはフィードバックを受け取る側の納得感を高める動きがすごく重要だと思ってます。信頼関係を構築するためには1on1で話すだけではなくて、そもそもの根底に「この人は口だけじゃないな」って思ってもらえるように行動で示すことを心がけています。
それが信頼関係につながって、フィードバックも受け入れてもらって目標達成に必要な改善のアクションをしてもらえるようになると思ってます。
ちょっと逸れるかもですが、しっかり話を聞いて、お互いに深める・改めるっていうのを目指していて、1on1をやればやるほど僕も成長することができるから、いつもみんなに感謝しているんですよ。いろんな人と1on1で話せるこのポジションは、超美味しいなと思ってます(笑)。
わがままに自分の人生を考えたっていい! 信頼関係を築き、共に未来を見据えるために
キャリアについてもすごく話を聞いてくれますよね?
「誰のためにやっているか」という目的を達するためにすごく重要なことだと考えているので、キャリアについては時間をかけて話をするようにしています。みんなそれぞれ違う人生をどう生きたいか、そのためにコドモンで何を得るかというところから目線を合わせたいと思っているんです。
いま何ができているのか、成果は出ているのかってことも大事なんですけど、いまの仕事1つひとつが自分の力になっていくってことを考えたら、今いる環境はあっているのか?チャレンジの方向性はこれでいいのか?その決断は未来につながる決断なのか?って問いかけたいし、一緒に考えていきたいんですよね。

それにこれは立場的な問題もあると思いますが、メンバーは結構、いろんなルールや遠慮に縛られていると感じることが多いです。真面目に自分の役割を担ってくれている点は感謝しかないものの、それで自分の選択肢を狭めてしまうことがあるんですよね。そういうときに僕が「なんでこの道を通っちゃだめなんですか?チャレンジしてみてもいいのではないですか?」って、閉ざしかけてた道に気づいてもらうような問いや提案をできたらいいなと思ってます。もう少しわがままに自分の人生考えていいって伝えたいんです。
だから1on1では腹落ちできるまで、質問して深く相手のキャリア観や目指す方向性を理解したいし、相手にもしっかり今の立ち位置や仕事に納得してもらいたいと思ってます。「どうしてこれをするのか or しないのか」という問いのなかで、メンバーには納得した上で自信を持って仕事して、キャリアを積んでいってほしいですね。
かなりの時間を1on1に使っていると思うのですが、大変ではないですか?
僕は1週間の4分の1……つまり毎週10時間くらいは1on1に使っていますね(笑)。
これをコストかけすぎとか、負担だって思う人もいると思うけど、僕にとっては自分ができないことをしてくれる仲間が、肩の力を抜いて集中できる状態になってもらうことが最優先だから全然大変ではないですよ。さっきも言ったように自分も成長させてもらっているし、僕の目指してる「みんなが気持ちよく笑顔で働ける会社」につながる大事な時間です。
そのための不満や不安の種はできる限り解消したい!!
たださすがにみんなが同じような量の1on1するのは難しいと思うので、コドモンでは原則としてひとりがマネジメントする人数を9人以下にしましょうって提案させてもらいました。
1週間にひとり30分で、4.5時間分。1on1の時間を取れるギリギリかなと思って人数を設定しているので、メンバーとしっかり向き合う時間をそれだけは確保するってことは覚悟して取り組んでもらえたら嬉しいですね。
1on1は双方の意識が大事。強い組織をつくるためにこれからできること
1on1をする上で、メンバーが気をつけるべきことはありますか?
マネージャーだけじゃなくてメンバーにも、1on1の時間を有意義にするというスタンスで臨んでもらえたらいいですね。お互いにその時間を大事にしようと、モチベーションを高く取り組んでいければいいなといつも思ってます。そうするとこちらも「期待に応える時間にしなきゃ!」って気合が入りますからね!
例えば……
・目的を考えてから挑む
・議題やアジェンダを用意する
・議事録をとって先週の続きを話す
ちなみに「今日は、息抜きのために雑談にしましょう」という1on1でもありだと思ってます。息が詰まりそうなほど仕事しているなら、肩の力を抜くっていう時間も大事なので。
1on1が文化になると、どんないいことがあるんでしょうか?
今は変化が激しい世の中になっていて、3ヶ年計画を引いて取り組むような昔ながらの経営手法では耐えられない時代になっていると思います。今は、対話を重視して意思疎通が早くなった会社が強いんだろうなって思っていて。
例えば、小池さん(代表)が言ったことをマネージャーがしっかり理解して、マネージャーがメンバーに伝えて……っていう伝言ゲームがうまくできれば、すぐにいいアウトプットが出ると思うんです。
そのためにも信頼関係を日々積み上げつつ、成長しつつ、プラスの連鎖を起こす土台を1on1で作っていきたいですね。

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徳永さん、ありがとうございました! 勢いのあるベンチャーだからこそ、日々壁にぶつかり続けるメンバーに寄り添い続けてくれる存在の頼もしさを、改めて感じる時間でした。
納得感と信頼の1on1が会社中で当然の文化になるよう、今後もみんなで盛り上げていきます!